ブログを投稿するいとまもなく、ここのところずっと「BAUHAUSチェスセット1924年モデルを自分で作り上げるキット」の試作品を製作していました。まずは駒をすべてモデリングし直しました。最初キットにすることを考えていなかったときにはありもののモデルを使っていたんですが、手の中にすべてがあることはとても重要です。モデリングし直すことで、ありものに存在したポリゴンの不具合による打ち出し不良はなくなりました。また、BAUHAUSチェスセットは1924年の製品なので、すでにパブリック・ドメインです。ですから、モデリングも自分で行うことで、すべての著作権上の問題も解決します。これもとても重要なことです。
駒のモデリングの後はボードを設計し、モデリングした後で打ち出し、試作パッケージをデザインして印刷し、加工し、組み立てていました。これらは新しい商品を開発する作業であると同時に、fabでどのような物作りが可能になるのかというデモンストレーションでもあります。ですから、今後機会があれば、モデリングやその他の加工などについてもブログに載せていこうと思っています。
それでは早速ですが、完成した試作品をお目にかけます。
これがキットの外観です。パーツの収まった箱と板が一枚。せっかくですからパッケージのデザインにも凝ってみました。箱の上部のデザインは、1924年リリース時のオリジナルパッケージのデザインを借用し、fab casketの意匠を追加して仕上げてあります。
右側に駒をカリカチュアライズしたアイコンが並んでいるのですが、その一番下にi-casketのロゴを同じロジックでカリカチュアライズして追加。フォントはオリジナルから変更し、より濃厚にBAUHAUSを感じさせるように、その名もBAUHAUS書体を採用しています。
また、右上に「法律によって保護されています」という旨のドイツ語が載っているのですが、実際にはすでにパブリック・ドメインであるため単語の間に1924という年号を入れ、当時を尊重したデザインであるという意味合いに変更しています。
デザイナーJosef Hartwigの名前の後に「and fab casket」という意味のドイツ語を小さめに追加することで、違和感のないように一応自分たちの仕事の部分もあることをアピールしています。もちろん正面にはi-casketのロゴがシンプルに入れてあります。BAUHAUS的なミニマルデザインをそんなに棄損せずに共存できているのではないかなと思っています。
そして、同じ意匠を板に焼き印しています。
この焼き印は3Dプリンタ同様に私が持っているレーザー加工機で作成したものです。レーザー加工機があると、紙などの切断から各種素材の焼き入れ等まで、かなりいろいろな加工がコンピュータ制御でできるようになります。加工機は最近個人レベルでも手に入れられるようになってきたのですが、リーズナブルな製品は自分自身で組み上げと調整を行わなければなりません。ですから、今後自分たちでもこうした加工がやってみたいけれど機械的なスキルはないという、純粋に作品指向の方のために、3Dプリンタやレーザー加工機などの組み立て代行も実施していけたらと思っています。
パッケージ裏はこんな感じ。QRコードでfab casketのURLが印刷されています。無地でも良かったんですが、やはり最新のプロダクツだという主張は入れておきたかったので、シンプルに控えめにレイアウトしておきました。
箱を開けるとまず目に飛び込んでくるのはチェスボードチップです。ただし、これは試作品だからで、実際には駒とボードは別の製品になり、パッケージもそれに併せて作り直される予定です。
チップを取り出すと、下から駒のセットが出てきます。当たり前ですが、これらは研磨を行っていない状態でパッケージされていますので、金属的な光沢はありません。このことには二つの意味があります。一つは研磨しない状態のマットなテクスチャも選べるようにしてあるという意味。そしてもう一つは3Dプリンタが未加工でどのような出力を行うのかというデモンストレーションです。
こちらがボードチップ。銅32枚、青銅32枚、計64枚入っています。これ、打ち出すだけで一苦労なのです。ですから現在金属加工で作成する道も模索しています。
ただ、3Dプリントならではのメリットも二つほどあります。一つは、0.1mmオーダーでの加工が可能という点。たとえば東急ハンズなどで加工してもらおうとした場合は、1mm単位でのオーダーしか受けてくれません。もう一つは、オンデマンドで作成できるという点。大量の在庫をストックしておかなくてもいいという点は、まさにfabならではのフットワークの軽さに直結しています。
逆に、デメリットは時間と手間がかかる点です。これはどちらをより重視するかで変わってくるのでしょう。
駒をすべて取り出して並べるとこのような感じです。ポーン以外の駒は大体一辺1.95cmの立方体を基準にしています。
試しにチェスボードチップを並べてみました。チップは、このようにぴったり板に収まる設計になっています。チップの一辺が3.75mmで、板は一辺30cmです。もちろん実際に制作する際には、まずチップ側面を研磨し、バリなどを取ってから合わせます。
すべて研磨したらどんな感じになるんでしょう。それはもちろん実際に制作してみないと分からないことです。ですから、頒布までにはまだまだ時間がかかります。今後は試作品を元に研磨して作成された完成品を作成する作業に入り、その過程を記録してマニュアルなどを作成していきます。
ブログでは他の話題も扱っていきますので、次回以降もどうぞお楽しみに!
なお、今回のフィラメントはこちら
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