お待たせいたしました。今回で胸像は完成です。

前回までで胸像にリューターで一次研磨をかけました。今回初めてお越しになった方に説明しますが、胸像といってもただの彫塑ではありません。3Dプリンタで打ち出した胸像なのですが、いわゆる樹脂製品ではなく、今回fab casketで取り扱いを始めました青銅フィラメントという特殊なフィラメントによる、80%青銅製という胸像なのです。

それでも積層で作ることに変わりはないため、いわゆる積層痕が発生するのですが、それを研磨で消し去れば、積層痕が消えると同時に本物の青銅の輝きが手に入るという寸法です。

とにかく、リューターで研磨をかけた結果積層痕は消え、このような感じになります。

青銅フィラメントで打ち出した胸像
3Dプリンタ 青銅フィラメントで打ち出した胸像

 

やすり痕が少しだけ目立ちはしますが、積層痕そのものはよく消えていると思います。これがリューターの威力です。台座とヘアバンドは粗めに研磨し、皮膚は丁寧に細かく研磨し、さらに顔のディテールを彫刻的な手法で立ててあります。そして、髪の毛にはあえて研磨はかけない状態にしています。積層痕を活かすことで髪の毛のテクスチャを表現しようという意図です。ここまでで丁寧な作業で20分ほどですが、もしこれを紙やすりでやろうと思ったらどれだけ時間がかかるか分かったものではありません。

しかし、いくらきれいになるとはいえ、リューターで研磨しただけでは積層痕が取れたという程度に過ぎず、特に慣れていない人だと表面が荒れてしまいます。そこで、次に役に立つのがこちら!DSC03957

TuneD3といって、3Dプリンタで打ち出したPLA樹脂やABS樹脂の積層痕を消すための専用のサンドペーパーです。二種類のやすりが入っていて、荒い方で削り、細かい方で仕上げをしますが、前回も書いたとおりPLA樹脂はこれで削っても難儀します。

そこでリューターで削ったわけですが、そうしてでこぼこをなくした上でこれを使えば高い効果が望めます。

具体的には、仕上げペーパーは使わず、グリーンシートで水とぎしていきます。

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水研ぎ後はこのようになr……って、写真だと全然分かりませんね><

実際にはまだマットな感じとはいえ、ずいぶんなめらかになってきます。この工程をどれだけ丁寧に行うかによって、仕上げ後のつやが全く違ってきます。とにかく丁寧に根気よく、水をつけては磨き、また水をつけては磨きを繰り返して磨いていきましょう。

そして、完全に磨きあがったら、仕上げのブルーシート……を使うのではなく、なんとスチールウールで磨いていきます。工業用などではなく、ご家庭の食器洗い用のスチールウールで十分……というか、けずり過ぎないようにむしろ家庭用を使って磨いてください。試行錯誤の結果この方法に行き着きましたが、かなり効果は高いと思います。

磨き始めると、不思議なほど突然金属的な光沢がやってきます。努力の報われるときが来ました。全体をスチールウールでくまなく磨くと、スチールウールはもろもろと崩れて粉になっていきますから、あらかじめダストキャッチャーの上で作業をするとか、紙などを敷いて作業をするなど工夫をした方が後の掃除が楽です。

写真ではちょっと実際のつやが表現しづらいのですが、磨き上げた後はこのようになります。

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重さといい、深い色合いといい、金属光沢といい、もはやこれが3Dプリンタで打ち出されたものだと信じる人はいないだろうというくらい見事に青銅になってます。しかも、においをかぐとちゃんと「十円玉のにおい」がします。

 

おまけ:

研磨直後は出来たての青銅製品状態なのですが、じつは数日おくと酸化が進んで、より「ブロンズ像」の風格をまとってきます。このあたりも純粋な樹脂製と違って、木材や金属などの「生きた」素材であると感じられます。エイジングの実験は現在も続いているのですが、とりあえず打ち出し後48時間程度の状態がこちらです。台座にもクラックを入れたりしてそれっぽくしてみました。

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いかがでしたか?このように、金属フィラメントを使えば本格的な作品がロストワックスなどを使わずに作れてしまいます。i- casketでもこうした素材を活かした新しいサービスを提案していく予定です。

なお、今回使用したフィラメントは1.75mmのPLA打ち出しが可能な3Dプリンタで、フィラメント選択が自由な機種であればどれでもご使用いただけます。ヒーテッドベッドがなくても、あまり底面積の広いものでなければ大丈夫でしょう。打ち出しのTIPSなども記事にして参ります。

次回はさらなる金属フィラメントのご紹介を行って参ります。お楽しみに!

今回のフィラメントはこちらでお買い求めいただけます。他にもいろいろあるのでよろしければどうぞ!

 

 

 

金属フィラメントを使う(4)bronzefillで青銅製の胸像完成

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