fab casketの中の人です。
早速ですが、せっかくのブログですし、今回から金属フィラメントで実際に打ち出してみるシリーズを始めます。
といっても毎日なかなかのハードスケジュールで制作に時間が取れないことが多いので、ちょっとずつやっていきますね。
とりあえず、題材としてテストプリントでよく使われるSappho’s Headを打ち出してみます。
それにしても、登場数の多い割に、実際この彫像がなんなのかを紹介している人がほとんどいない不思議。これは古代ギリシャの女流詩人サッポーの頭部像……でしょう、きっと。
名前からそう判断できますけれど、実際のところ、本当にサッポー像なのか分からないんです。というのも、この像の元ネタはここで手に入るんですが、紹介が単に「サッポーの石膏像から3Dスキャンしたデータ」なので(^^; 実際、同じ像を探してみても、3Dプリントされたものしか見つからない。どなたか正体をご存じの方いらっしゃったら教えてくださいm(_ _)m
このブログにいらっしゃる方の多くはたぶんご自身でも3Dプリントを嗜まれているでしょうから、打ち出しの詳細は省きますが、とりあえず青銅80%の金属フィラメントで打ち出すとこんな感じになります。
左は一般的なPLA樹脂で、右が青銅フィラメントです。ただし、打ち出した直後はほとんど金属感がありませんから、マットな質感や色と相まって、ちょっと粘土のようにも見えてしまうかと思いますが、実際出力されたものを手に取ってみると、異様に重く、しかも冷たい感覚があります。
それもそのはずで、先ほども書きましたが、このフィラメントは本物の青銅が80%も配合されているため、ほぼ金属製(青銅製)と言えちゃうからです。
同じ一層0.2mmで出力されたモデルなのですが、すでにPLAと比べ、積層痕があまり目立たないことに気づかれたかと思います。実際拡大してみると、確かに積層痕はあるのですが、マットな質感のおかげで光が拡散されるため、目立たなくなります。
おかげで、同じ光を当てても、細かな表情までよく分かると思います。
しかし、現時点では、「これぞ金属」と強弁されても「はぁそうですか」と返すしかないと思います。ところが、この状態から研磨によって大きく化けていくんです。それがこのフィラメントの凄いところ。
ただ打ち出して形状の確認をするとか、ナニカの部品にするとか、3Dプリント特有の質感を楽しむといった楽しみが大半だった3Dプリンタですが、このフィラメントに限ってはそれではとってももったいないのです。
打ち出しただけでも確かにマットな質感が美しく、重さがあって冷たいので、その重厚なオーラは確かにちょっと他を圧倒するものがあるとは思うのですが、そのままではなく手作業の加わった、文字通り「作品」に仕上げるという段階あってこそ初めてその価値が生きてきます。
というわけで、次回からは右の胸像を実際に加工して、どんな風に変わっていくのかをご覧に入れます。どうぞお楽しみに!
なお、今回のフィラメントはこちらです。この径でこの重さのものは国内ではほとんど手に入らないので、在庫のあるうちにどうぞ