前回は、打ち出した青銅フィラメントBronzeFillの積層痕を消すのはPLA樹脂などと同じように、なかなか大変だという話でした。そこでリューターとやすりビット(砥石ビット)を使った最初の研磨がおすすめなのですが、注意点が一つ。リューターは非力なものであっても強力なので、加減が分からないとうっかり削りすぎてしまうという点です。
せっかくなのでやってみます。といってもメインでやってしまうとリカバリが大変なので、台座を使います。台座ならリカバリで「より古い感じ」に持って行けますし。
たとえば、積層痕を消そうとして一所に押し当ててるケースを考えます。力加減に注意と言われているので、ほとんど力をかけないように気をつけつつ、跡だけを消そうとしている初心者さんが細心の注意で「触るくらいの感じ」で5秒間ほど切削箇所で動きを止めて押し当てたとします。するとこうなります。
分かりづらいかもしれませんが、台座の正面中央がでこぼこになってしまいました。これを顔の部分でやってしまったらと思うと血の気が引きます。ちなみにこの写真ではほとんどの部分でリューターによる研磨が終了しています。デコルテのあたりとか、かなりなめらかになっているのがおわかりでしょうか。
積層痕を消すためにやすりなどを使うのはものすごく大変です。あとで紹介しますが、この写真で敷かれているペーパーのような専用品であったとしても、積層痕を消すまでに指は腫れ、手は痛くなり、しばらく何もしたくなくなるほどです。もちろん普段からこのような作業に慣れている方や力の強い男性ならそんなことはないのかもしれませんが……。
ちなみに、今度打ち出す時にでもう少し詳しくやりますが、この胸像は一般的な設定よりも外殻が厚く設定されています。万一切削が過ぎてしまったときも、あるいはちょっと衝撃が強かったときにも、もしかしたらこじってしまったようなときにも、ある程度皮が厚ければ穴が空いたり裂けたりせずに済むからです。重くもなるからより本格感もましますし!
ご自身でリューターを使う際にはこうした事態も考えて、あらかじめ慣れるまでは台座など目立たないかリカバリの利く場所で感覚をつかむようにいろいろやってみることをおすすめします。
なにせ、やすりとはいえ削ることには変わりなく、手作業と比べて圧倒的な速さでやってのけてしまいますので、研磨なのか彫刻なのか分からなくなってしまうからです。もちろんただの打ち出し物と違って、こうした素材を使う以上はだいぶ作品よりになってきますので、彫刻的な操作もできるという点は大いに活用するべきだと思います(今回もちょっと彫刻っぽい作業を行ってます)。
さて、3Dプリント物の研磨ですが、もちろん普通のやすりでも大丈夫ではあります。その場合は240番くらいから始めて削っていけば良いでしょう。
そして、これが専用品です。TuneD3といって、ABSやPLAの積層痕を消すために設計されています。……が、実際にやってみると分かるんですが、それでもやっぱりPLAは削りづらいんです。それはもう。だから、作品的な打ち出しものでは一次研磨はリューターを使うのがおすすめ。
そして、一次研磨終了後にD3を使うと、一番効率よく研磨できるというわけです。
ちょっと予定より延びてしまったため、今日完成の予定でしたが次回に延ばさせてください。
それではまた次回~!
ちなみに、現在使用中のフィラメントにご興味があれば、冷やかし大歓迎なので見ていってください
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