前回、3Dプリンタで使える特殊な金属フィラメントである青銅フィラメントBronzeFillでSappho’s Headという彫像を出力しました。素のままの出力結果はまるで粘土のようなマットなテクスチャで重く、それはそれで良い味なのですが、今回は研磨をかけていきたいと思います。

さて、3Dプリンタの研磨といえば、主に積層痕を消すためのものですが、これが意外に難物なのです。ABS樹脂を使っている場合は切削性が良いためそんなに苦労しません。適当なやすりで削ってもきれいになり、仕上げも楽です。何よりもプラモデル用の豊富なツール群がほとんどそのまま使えるので、コンパウンドで磨いてクリアを厚吹きして研ぎ出しだとか、いわゆるMAX塗りまで自由自在。

でも、ほとんどの3Dプリンタで使われているPLA樹脂では全然そんな風に行きません。まず圧倒的に固いので削れません。やすりをかけようがなんだろうが削れず、執拗に続けていると削られるというよりもむしられていくような感じです。固いのにもろい。しかも塗装は乗らないし、当然接着もほとんど利きません。土に埋めておくと自然に返るところは最大の美点ですが。

BronzeFillではどうなのか。まず青銅が80%配合されているので、これを除くと、残りはAmphora 3Dという特殊な樹脂で、配合した結果としてPLAよりは削りやすいけれどABSよりは固い印象です。これを納得のいく形に削るのは結構大変です。

力の強いの男性ならともかく、たとえば新しい創作や、アクセサリへの応用のために3Dプリンタを考えている女性造形作家さんたちにとってはかなり骨の折れる作業です。

で、登場するのがこれです。

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リューターとやすりビット。じつは大きな速度調整式のものも持っているんですが、大きくて力の強い機種はとっても削れてしまうので、出来るだけ非力なものを選ぶのがいいです。逆に言えば、安いもので十分ということ。たとえば田宮からはプラモデルとして組み立てられるリューターが発売されていますが、おそらくそれでも十分なはずです。比較的高価なプロクソンのミニルータでも小型なら数千円で買えます。

やすりビットはWAVEというガレージキット(メーカーに依らない個人制作のモデル)支援メーカーから出ているのが数がそろっている割に安くて品質も良く、2.35mmが使えるリューターと互換性があるのでおすすめです。

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彫像モデルでは、ビットは一番小さなつくし型がおすすめです。写真の段階では研磨は一際されていないので、まだ前回と同じ、ちょっと粘土っぽいテクスチャです。

次回からは実際に削りに入ります。お楽しみに!

もし自分でも青銅フィラメントが使ってみたいと思った3Dプリンタユーザーの皆さんは、探してみると日本ではほとんど見つからないことに気づかれると思います。あっても3mm系のものだったりして、日本で一般的な1.75mmのものは売り切れていたり。そこでどうしても必要なら英語で海外の会社とやりとりして買うことになるのですが、ヨーロッパの会社だとVATという税の適用で交渉しなければならない必要があったり、場合によって税関と交渉しなければならなかったり、関税その他の問題も出てくるため、なかなか敷居が高いものです。しかも、少ない数だと送料が割高になるため、その点でも試しづらい状況が続いています。

そんな方のためにfab casketがあります。よろしければご活用ください。

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金属フィラメントを使う(2)bronzefill青銅フィラメントを磨く

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